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あけぼの大豆を手に取る拠点施設の作業員=2024年10月9日、山梨県身延町、池田拓哉撮影
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 「幻の大豆」と呼ばれる山梨県身延町特産の枝豆「あけぼの大豆」が猛暑による不作と、将来的な担い手不足の懸念に直面している。首都圏で直売会を開くと数時間で完売するほどの人気を誇るだけに、町や生産団体は対策に乗り出した。

 「甘くて大きい、幻の大豆ですよ」

 10月11日、東京・秋葉原駅の売店で、JR東日本のグループ会社の男性社員が声を張り上げていた。販売されたのは、前日に収穫された約70キロのあけぼの大豆の枝豆。甲府駅から特急「かいじ」で都内に運ばれた。

 町によると、直径が一般の大豆の約1・5倍。ふっくらとした豆は独特の甘さとコクがある。10月にだけ出荷され、国内で収穫される枝豆約6万2千トンのうち、あけぼの大豆はわずか20トン。町内で開かれる直売会は県内外のファンでにぎわう。

 魅力に注目したJR東日本が一昨年から東京駅や八王子駅などで直売を始めた。袋入りで300グラム999円。この日、秋葉原駅の店頭に並んだ約30袋は約2時間で完売した。

 今年は、都内で昨年と同じ約220キロを販売したが、販売担当者は「毎年好評で、本当はもっと増やしたかったけれど不作らしいんです」と残念がった。

 産地では異変が起きていた。

「20年後、本当に幻に」

 町によると、山間部に位置す…

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