厚生労働省の社会保障審議会年金部会=2024年7月3日、東京都千代田区

■年金制度改革法案のポイント

・基礎年金(国民年金)の底上げ策は、2029年以降に実施の判断を先送りする方針に転換
・高所得者の厚生年金保険料の等級(標準報酬月額)の上限引き上げ。最も高い等級の上限額は、現行の65万円から75万円に

 29日に開かれた自民党の委員会。今回の年金改革での具体的な見直し方針が示された。

 公的年金制度の改正は5年に1度。将来的に年金の給付水準が下がることが課題とされるなか、基礎年金(国民年金)の底上げ策は、今回の目玉政策になるはずだった。

 現行制度では、少子化や長寿化に応じて年金給付額を減額調整する仕組み「マクロ経済スライド」がある。基礎年金、厚生年金部分の、それぞれで減額している。厚労省の試算では、財政状況が良い厚生年金は2026年度にも減額が終わる一方、基礎年金は57年度まで減額が続く。

 そこで厚労省は、厚生年金の積立金を活用して基礎年金の減額期間を短くすることで、底上げを図る考えだった。

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 ところが、大きな壁が立ちはだかった。

 一つは、将来的に兆円規模で…

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