衆院3補選全敗は、岸田文雄首相と自民への不信の高まりを如実に示す結果となった。党内では首相による衆院解散と9月の総裁選再選にも否定的意見が圧倒的だが、党執行部の責任を問う声は表だって上がらず、今のところ「岸田降ろし」の動きも見られない。党内を支配する奇妙な静寂は、首相と自民の置かれた八方ふさがりの状況を表しているかのようだ。
選挙から一夜明けた29日、首相は終日、公邸にこもった。首相に最も痛かったのが「保守王国」島根での敗北だ。自民候補劣勢が伝えられる中、自身の強い意向で異例となる2回の現地入りをしたが、立憲候補に惨敗。衆院任期満了や参院選を来年に控える自民議員らに、首相は「選挙の顔」にならないと強く印象づけた。
首相はもともと訪米の成果を携えて補選で勝利を収め、衆院解散・総選挙に打って出る戦略を視野に入れていたが、足元の岸田派若手からも「この状況で解散したら大変なことになる」と悲鳴が上がる。無派閥中堅は「島根でこの負け方なら、今選挙をやれば自民議員のほぼ全員が負ける」と語り、首相自らが潔く身を引くことを期待する。
とはいえ、二つの理由で「岸…