
連載「HANABI」第8部 未来へ紡いでいく(5)
新山良洋(53)は、2人の「現代の名工」を師匠にもつ。
他界した祖父虎之助、青木多門。良洋が修業した長野市の「紅屋青木煙火店」は、「大曲の花火」で歴代最多の優勝を誇る名門。虎之助も多門の父儀作に学んだ。
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多門は、良洋にこう説いた。
「どれだけ良い花火を作っても、決して満足するな。必ず欠点はある」
良洋は、虎之助が築いた新山家の技術を「さらに伸ばす」と決意し、1995年に秋田県大仙市の実家に戻る。
このころ、大曲の他業者は法人化を進め、工場に乾燥工室をしつらえ、雪国での通年操業を可能にしていった。
「もうダメかも」
一方、新山家は、虎之助が個…