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インターステラテクノロジズが開発中の小型人工衛星打ち上げ用ロケット「ZERO」のイメージ(インターステラテクノロジズ提供)

 スペースポート(宇宙港)整備が進んでいる北海道大樹町の宇宙関連会社で、大型の資本業務提携や、国からの研究開発支援が相次いでいる。人工衛星用ロケットを高頻度に打ち上げられる国内の拠点づくり加速へ、期待が高まっている。

 北海道大樹町のロケット発射場「北海道スペースポート」(略称HOSPO、ホスポ)の管理・運営を行う「スペースコタン」(同町)が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「宇宙戦略基金」事業に採択された。採択されたのは人工衛星用ロケットを高頻度に打ち上げるための射場の地上系技術開発の分野で、今回、最大で105億円の支援が得られる。

 国は2030年代前半までに、国内のロケット打ち上げを年間30回程度確保する目標を掲げる。同基金は、国が企業や大学の技術開発を支援するためのもので、昨年から運用が始まり、基金全体では10年間で総額1兆円を見込む。

 現在、大樹町では、町内のロケットベンチャー「インターステラテクノロジズ(IST)」が開発中の人工衛星打ち上げロケット対応の発射場「LC―1」を建設中だが、将来は、複数の人工衛星用ロケットを高頻度に打ち上げられる発射場「LC―2」整備の構想も持つ。今回支援分野となった射場の地上系技術開発は、実現に必要不可欠な技術だ。

 スペースコタンでは、今回の基金を活用し、▽複数のロケットと発射場をつなぐシステムの共有化技術▽打ち上げ時の発射場や飛行経路の気象環境を精度高く予測する技術▽超低温燃料の貯蔵・充塡・排出を安全で効率的に行う技術――などを開発する。

 開発にあたっては、成層圏での気球の遊覧飛行実用化をめざす岩谷技研(江別市)や室蘭工大(室蘭市)など道内外の5つの企業・団体と共同して行う。28年度までに検証を完了することが目標だ。

 スペースコタンの小田切義憲社長は「本基金により、多様な機体を高頻度に打ち上げられる次世代の射場技術を開発し、日本の宇宙産業発展に貢献してまいる」とコメントしている。

ISTにトヨタ子会社が70億円出資

 北海道大樹町のロケットベンチャー「インターステラテクノロジズ」(IST)は、トヨタの子会社でモビリティーの新技術・事業開発などを行う「ウーブン・バイ・トヨタ」(東京)と、資本・業務提携に合意した。約70億円の出資を受ける。ウーブン・バイ・トヨタから、取締役の派遣も受け、コーポレートガバナンスの強化も図る。

 現在、ISTでは小型人工衛…

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