寿楽浩太・東京電機大教授=2024年3月1日

 「核のごみ」の最終処分場を選ぶプロセスの入り口となる「文献調査」に、原発の立地自治体として初めて応じた佐賀県玄海町。文献調査が「立地自治体の責務」かどうかなど、今までの処分場選びの議論にはなかった論点がもち上がり、注目された。その意味について、経済産業省の審議会委員を務め、処分場選定に詳しい寿楽浩太・東京電機大教授に聞いた。

 ――町議会に出された文献調査を求める請願に「立地自治体の責務として、文献調査に応募し、国に協力するべき」という言葉があり、その請願が採択されました。

 これまで、国や文献調査を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)など、最終処分場の誘致を進める立場からもこの考え方が出されたことはなく、従来と違う論点です。国からではなく、地元から自発的に出てきた考え方ではないでしょうか。

 すでに原発がある地域に、処分場の受け入れまで求めるのは慎むべきだという考え方が、これまで原発の賛否双方の立場から語られてきました。立地自治体はリスクを長年にわたって引き受けることで社会全体に貢献しているからです。その点で、文献調査を受け入れる玄海町の選択はインパクトがあります。

原発がある自治体に処分場「海外には例がある」

 ――ただ、玄海町の町長も議員の多くも、文献調査が最終処分場建設に直結するわけではない、と言っています。

 それが前提での文献調査への…

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