東京大の横山広美教授=東京都文京区、北村有樹子撮影

 日本は他国と比べて理工系の女性学生が圧倒的に少ない状態です。「なぜ理系に女性が少ないのか」の著書がある東京大の横山広美教授(科学技術社会論)にその理由や、急増している大学入試の「女子枠」について聞きました。

 日本の理工系の女性学生の少なさは特異的です。2022年時点で、OECD(経済協力開発機構)加盟国中、大学などの高等教育機関の理系の女性学生の割合は最下位です。

  • 【そもそも解説】女子枠急増 なぜ大学理工系に女性を増やしたいのか

 ここ数年で他国が頑張って割合が上がっていたにもかかわらず、日本は伸びないまま。日本での女性学生の割合は、工学・製造・建築領域で16%、自然科学・数学・統計学領域で27%。OECDの平均はそれぞれ26%と52%で、5~6割程度にとどまっています。

 一方、各国の15歳を対象とする、OECDの学習到達度調査(PISA)の22年の結果をみると、日本の女子生徒の「数学的リテラシー」や「科学的リテラシー」の平均点は、英米の男子生徒よりはるかに高かったです。これまでは、理系だけ、特に理系の女性教員が理工系の女性を増やそうと頑張ってきましたが、限界があります。大学全体として取り組むほか、日本の女子生徒の点数が高いことを、しっかりと伝えて自信をつけ、理工系に興味をもってもらって進学してもらうのが正攻法です。

理工系女子学生が少ない理由は「バイアス」

 国の政策的には人材確保の観…

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