東日本大震災発災の9日後、宮城県石巻市で、がれきが積み重なった中から、祖母と一緒に助け出された16歳の少年がいた。「奇跡の救出」と大きく騒がれたことに戸惑い、葛藤を抱えてきた当事者の元少年が9月22日、救助した側の元警察幹部、「奇跡」と報じた新聞記者と同市内で一堂に会し、語り合った。
阿部任(じん)さん(29)は2011年3月の震災当日、実家に祖母といて地震にあったが、「避難しなくても大丈夫だろう」とそのまま残った。家ごと津波に流され、がれきに閉じ込められたが、部屋にあった食料で命をつなぎ、3月20日、警察に救出された。
取材拒否、地元からも足を遠ざけた時期が
現場に殺到した報道陣を見て…