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東京湾を見下ろす神奈川県横須賀市田浦町の旧市営住宅・田浦月見台住宅が、ユニークな「新物件」として注目されている。
入居者の減少や老朽化のため使われなくなり、「天空の廃虚」とも呼ばれているが、この築60年余りの空き家群を改修し、住居兼アトリエなどに再生しようとの試みが進んでいるからだ。
JR田浦駅から徒歩約10分、急な坂道をのぼった先の標高約60メートルの丘陵地にある。高度成長期の1960年に整備されたが、入居者の減少などで市営住宅としては廃止になり、2020年までに全入居者が退去した。
車が入りにくい細い路地が多い地域にあることもあり、市は新たに開発したり売却したりする見込みは薄いと判断、民間事業者による再生を模索してきた。公募の結果、鎌倉市を拠点にする不動産会社「エンジョイワークス」が選ばれた。
同社は07年創業。地域のさまざまな遊休不動産を活用したカフェやオフィス、空き家再生・利活用などを手がけており、今回はファンドを使った資金調達による修復を提案した。
市営住宅の趣を「あえて残した」
「海を見渡す丘に広がる平屋…