ブライダルファッションを日本に広めたデザイナーの桂由美(かつら・ゆみ、本名結城由美〈ゆうき・ゆみ〉)さんが死去しました。94歳でした。
2007年に朝日新聞夕刊に4回にわたって掲載された桂さんのインタビュー連載記事「人生の贈りもの」を配信します。
- デザイナーの桂由美さん死去 日本にブライダルファッション広めた
【2007年12月25日夕刊】
――毎年、新しい手帳に前年の手帳の内容を書き写すのが、元日の恒例行事だそうですね
手帳は私の分身です。仕事を始めた時から頭に浮かんだアイデアをすべて記してきました。デザイナーとしてだけでなく、経営者、リーダーと三つのエリアに分けてあります。デザイナーのエリアには、次のパリ・コレや東京ショーのテーマ、デザイン。経営者には、事業計画、宣伝計画、その資金繰り。リーダーには、アジアブライダルサミット計画、という具合です。
――すべて手書きで?
ええ、「1964年赤坂に日本初のブライダルサロンをオープン」「1987年パリで初のショー」……、自分の歴史を写すうちに人生を無意識に振り返り、今年はあれをしようとワクワクしてきますでしょう? 経営エリアを見て、今年は支出を抑えようとかね。30年前の考えも再生できますし、手で書くことで心も静まりますから。
――先日出版された「世界基準の女になる!」は21世紀の女性の成功法を書かれていますね
これまで20冊の本を出したんですが、1冊しか重版されてない。なぜだろうと思って並べてみたら、大半がブライダルの本なんですよね。私はブライダルを日本に持ち込んだ人間としてそれを広めることを考えてきました。でも「結婚の決まった人しか読まない」と言われた。
――結婚雑誌もありますしね
様々な分野で活躍する女性にエールを送れればと、初めて自分の人生や仕事を明かす本を出しました。大それたタイトルが恥ずかしいですが。
――その本で「自分の夢で輝きたい」と書かれていますが
私は、夢を実現するためだけ…