宮城県の村井嘉浩知事は24日、定例記者会見で東京都知事選の論戦について聞かれ、「地方で子どもを産んでもらう施策に東京都が協力してもよいのでは」と独自の考えを打ち出した。地方の子育てにまつわる財源を、都が支援する仕組みも提案した。
村井知事は全国知事会長も務める。子育てへの考えは「県知事というより、知事会長として強く思っている」と会見で説明した。
厚生労働省によると、1人の女性が一生のうちに産む子どもの推計(合計特殊出生率)は、東京都で昨年、0.99と全国で唯一「1」を割り込んだ。都知事選では候補者の子育て支援策に注目が集まっている。
村井知事は「(都内住宅で平均的な)60~70平方メートルの家で子ども3、4人を育てるのは物理的にも難しい。都内の出生率よりも地方を上げた方が、費用対効果は高いと思う」と話した。
また、東京一極集中の状況を「どのみち(若者は)東京にある程度集まってくる」と述べ、若者が抜ける地方の問題に柔軟に対応する必要性を強調した。
具体的には、税収の多い東京都が地方に子育て財源を振り分ける手法を挙げ、「地方がダメになると、結局東京も衰退する。共存共栄の気持ちを持つことだ」と訴えた。
逆に、都の一番の課題を「老いていく大都市をどう維持していくのか」とし、都知事選で高齢者の議論が少ないことを懸念した。(福留庸友)