韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が出した「非常戒厳」をめぐり、尹氏を内乱容疑などで捜査している合同捜査本部は7日、ソウル西部地裁が尹氏の拘束令状を新たに発付したと発表しました。しかし、尹氏は昨年12月14日に弾劾訴追案が国会で可決される2日前の談話で、非常戒厳を正当化すると共に、捜査に対しては徹底抗戦する姿勢を明確にしています。
国際関係論や政治学が専門のソウル市立大の黄智煥(ファンジファン)教授はこの談話を聞きながら、2021年1月の米国会議事堂襲撃事件を思い出した、と語ります。どんな共通点があるのでしょうか。
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――韓国の市民は、今回の混乱をどのような視線で眺めていますか。
韓国の人々は「最後に戒厳令が出た1980年から、政治が大きく進展した」という自負心を持っていました。21世紀に盧武鉉(ノムヒョン)大統領と朴槿恵(パククネ)大統領に対する弾劾決議が行われました。民主主義の制度は維持されてきました。
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ところが、今回は軍隊ではなく大統領が主導して非常戒厳を出しました。「私たちの国は、北朝鮮やロシアのような権威主義国家とは違う」と考えていた韓国の人々が受けた衝撃は大きかったと思います。
――尹氏は昨年12月12日…