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2018年6月12日、シンガポールで開かれた初の米朝首脳会談で記念写真に納まる北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)とトランプ米大統領(肩書はいずれも当時)。朝鮮中央通信が伝えた=朝鮮通信

 北朝鮮がロシアに兵士を派遣し、韓国では「非常戒厳」を巡る混乱が続いています。来年1月には、米国でトランプ政権が再び、誕生します。

 朝鮮半島の安全保障が揺れるなか、米ランド研究所スタントン財団のベンジャミン・ヤング核セキュリティーフェローは、北朝鮮に全面的な非核化を求める政策は現実的ではないと指摘します。かりに米国が北朝鮮を核保有国と認めることになれば、大きな方針転換となりますが、ヤング氏はなぜそのように考えるのか。詳しく話を聞きました。

 ――北朝鮮の非核化は現実的に可能ですか。

 現実的(な政策)ではないと思います。北朝鮮は、核兵器を公式に憲法に盛り込んでいます。現在では「国家の基本法」と見なされています。言い換えれば、核兵器は今や北朝鮮の政治・法構造と制度文化の一部になっています。北朝鮮が全面的な核廃棄を受け入れる兆しはありません。

 彼らは、リビアやウクライナで何が起こったのかを見てきました。ある国が核兵器や核開発計画を放棄すると、その国はより弱体化し、その主権ははるかにもろくなります。主権(体制の維持)は金正恩(キムジョンウン)一族の政権にとって最も重要なのです。

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ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ290人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。

 ――では、米国は、北朝鮮は核保有国という前提で核軍縮交渉を行うべきだということでしょうか。

 北朝鮮が保有する核兵器の備…

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