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女性たちに配るカイロにカードを貼る佐藤初美さん(中央)=東京都新宿区

 望まぬ妊娠や虐待、性被害などに悩む若年女性を支援するNPO法人「10代・20代の妊娠SOS新宿―キッズ&ファミリー」が、来年度の活動が危うくなっているとして、クラウドファンディング(CF)を始めた。

 冷たい風が吹く2月の夜、東京・歌舞伎町の路上に、理事長の佐藤初美さんの姿があった。

 「寒いわね」「今日はお店に女の子何人いるの? その子たちにも渡してくれない?」

 大久保公園周辺の路上に立つ女性たちに声をかけながら、相談窓口が書かれたカードをつけたカイロやリップクリームを配った。

 「店の男が監視している場合もある。女の子がいらないと断ったときは、むりに渡さない」という。

 ラブホテルの前で声をかけた女性は現在妊娠中といい、「来週、手術」とおなかを触った。「わかった。何かあったら連絡して。来週はもっと寒くなるからね」と応じ、カイロを渡した。

 佐藤さんは元新宿区役所の職員で、2016年に法人を立ち上げた。当初から夜間パトロール、夜間相談所での食事やお菓子などの提供を実施し、23年度は106回のパトロールで、4931人に声をかけたという。

 コロナ禍以降、路上に立つ女性は増え続けているという。「小学生もいる。9割が虐待経験があり、『死にたい』と訴える子が多い」

 女性たちに居場所を提供し、支援につなげようと、相談事業のほかに、シェルターも運営する。年間1500万円かかる運営資金は、これまで佐藤さんの講演料や寄付、助成金などでまかなってきたが、助成金が減少するなか、来年度の活動継続が危うい状況になっているという。

 佐藤さんは「行政の支援につながりづらい子たちが多い。力を貸してほしい」と言う。

 CFは3月27日まで。詳細は(https://readyfor.jp/projects/10dai20dai-ninshin-2025)。または「妊娠SOS新宿 レディフォー」で検索。

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