厚生労働省は、創薬力を強化するため、「創薬支援基金」を創設する方針を固めた。産官学が連携してスタートアップ企業の立ち上げと成長を支える「創薬エコシステム」の実現を目指す。24日に開会する通常国会に提出予定の医薬品医療機器法の改正案に盛り込む方向で調整している。
日本では、欧米で使える薬が使えない「ドラッグ・ロス」が課題となっている。政府は昨年12月に成立した2024年度補正予算で、スタートアップの設立や研究開発、施設整備の支援に約100億円を盛り込むなど、創薬力強化に力を入れている。
厚労省は、新たに基金をつくり、法律に位置づけることで、安定的な財源を確保するねらいがある。
一方、基金では民間の協力も得たい考えだ。厚労省内では企業の利益に応じて資金の拠出を求める案も浮上したが、米国研究製薬工業協会と欧州製薬団体連合会が先月、義務的な拠出に反対する共同声明を出すなど、反発も起きている。このため、任意の拠出による仕組み作りを模索している。