ソウルで2024年12月4日、国会議事堂に入ろうとする戒厳軍=AP

 韓国の「非常戒厳」を巡る混乱は、軍と政治との在り方を改めて考える契機になりました。韓国国会で国防委員長を務める成一鍾(ソンイルジョン)議員(与党・国民の力)は、「韓国の国民は今後も韓国軍が政治的中立性を守ることを期待している」と語ります。

【連載】読み解く 世界の安保危機

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 ――非常戒厳が出されたことをどう受け止めていますか。

 非常戒厳を巡る状況は韓国にとって非常に不幸な出来事でした。私たちの憲政史上、再び起こるべきではない事態だと思います。いかなる状況であれ、政治的な解決ではなく、軍と警察による戒厳を宣言して問題を解決しようとすることは、誤った行為です。

 民主主義国家の韓国に、非常戒厳に同意する市民はいないと思います。大統領の判断ミスが国政の混乱と国民経済の不確実性を招いたことは遺憾です。

 ただ、国民と議会が、憲法に定められた適正な手続きに従って、非常戒厳の早期解除を進めたことは、私たちの民主主義の強靱(きょうじん)性を示したと思っています。

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 ――非常戒厳に対する韓国軍の対応をどのように評価しますか。

 憲法や軍隊組織法、兵役基本…

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