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デブリの試験的取り出しのイメージ

 作業が遅れていたのに東京電力は把握せず、関わった作業員らもミスはないと思い込んでいた――。福島第一原発の廃炉作業で「本丸」とされる溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し作業で、東電も「初歩的」と認める手順ミスはなぜ起きたのか。東電が5日に公表した調査結果からは、現場の異変が次々と見過ごされた実態が浮かぶ。

 「穴があるはずがないのに、穴がある」

 8月22日朝。福島第一原発構内の「遠隔操作室」に、2号機の原子炉建屋内で、燃料デブリ取り出しに向けた準備を進めている現場から困惑する声が届いた。燃料デブリを取り出す「釣りざお式装置」を原子炉格納容器に押し込むパイプの並び順が間違っていることがわかると、作業を請け負う三菱重工業や東電の関係者らは一斉に青ざめたという。

 今回は、燃料デブリの取り出…

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