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「出張朝市」の初売りで、買い物を楽しむ人たち=2025年1月2日午前、石川県輪島市、伊藤進之介撮影
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 石川県輪島市の朝市通り周辺の出店者らによる「出張輪島朝市」が2日、市内の商業施設で2025年の初売りを迎えた。八つの店が開き、帰省客らでにぎわった。

 朝市通り周辺は能登半島地震で大規模な火災に見舞われた。出店者らは昨年7月から、商業施設「パワーシティ輪島ワイプラザ」の通路で「出張輪島朝市」を営業してきた。

 輪島市朝市組合の冨水長毅組合長(56)によると、朝市の初売りは慣例で4日とされてきたが、今年はワイプラザの初売りに合わせた。「帰省客に(商品を)全国に持ち帰ってもらい、朝市のことを知る人が多くなればうれしい」と笑顔を見せる。

 ともに「冨水商店」を営む妻の和代さん(56)は、ワイプラザで出店するようになってから地元客やボランティアの来店者が多くなったという。「スーパーもコンビニもなかった頃のように、地元の方に支えられている感覚。目の前のお客さんを大切に、一歩ずつ前に進みたい」

 岐阜県の大学生、北川愛子さん(20)は、年末から輪島市内で炊き出しなどのボランティアに参加した。この日は甘エビの乾物や、木うるしのキーホルダーを購入。「朝市の営業が続けられることで文化が継承されていると思う。また来たい」と話した。

 地震前の輪島朝市は、市中心部の朝市通りに100前後の店が並んだ。市によると、周辺は火災で約5万平方メートルが焼失し、16人が死亡した。

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