事業に使う電気を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す大手企業87社が25日、日本政府に再エネ拡大を求める提言を発表した。環境に配慮した経営が海外市場を中心に求められている一方、国内での伸びが鈍いからだ。再エネを確保できなければ、事業戦略にも関わるという危機感が背景にある。
「我々企業が需要家として再エネの拡大に向けた声を上げることができたよい機会。再エネ拡大がさらに加速すると期待する」
LINEヤフーの服部実・サステナビリティ推進統括本部シニアアドバイザーはオンライン会見でこう述べた。ソニー、花王、リコー、キリンなど、国内外で名の知られる大手企業が訴えたのは、再エネを増やすことだ。
提言したのは、事業に使う電気を100%再エネ由来にすることを目指す国際的な企業連合「RE100」。国内87社も参加している。現在政府が議論を進める、電源構成などを決める次のエネルギー基本計画に、再エネ容量を2035年度までに22年度比で3倍に増やすことも求めた。
環境に配慮した経営を求める圧力は、世界的に高まっている。購買行動だけでなく、気候変動対応の有無が事業リスクになると考えられ、投資家の価値判断にも影響。企業に気候変動対策情報の開示を促す「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)は、22年4月から東証プライム市場の上場企業に義務付けられた。気候変動対策に関する株主提案も国内外で増えている。潮流に乗れなければグローバル市場から締め出されかねない。
日本企業の再エネ調達、欧米より低く
提言では、「国内の再エネ容量を増やすことで、エネルギー安全保障を大幅に改善し、国際競争力を堅持する」などと指摘。再エネを活用するために、蓄電やエネルギーマネジメントシステムへの投資増▽コスト比較のために、各電源の発電コストの計算方法の開示▽送電網を増強する技術への投資促進――などを求めた。
日本企業の危機感は、欧米よりも再エネの導入が遅れていることにある。RE100によると、参加する独英仏米の各国企業はすでに事業で使う電気の8割以上を再エネに置き換えているのに対し、日本企業はまだ25%程度。G7では最下位だ。高いコスト▽限られた供給量▽調達の難しさ――によって再エネの確保が難しいと指摘している。
RE100の日本企業87社の足もとの消費電力は6.5万ギガワット時という。対して、21年度の国内の全ての再エネ供給量は20万ギガワット時程度だ。RE100企業の87社が100%再エネを目指す場合、再エネの全供給量の3割も使ってしまうことになる。
再エネの確保は、海外の企業からみた日本という市場の魅力へも影響しかねない。
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