宗谷岬近くの丘陵地に林立する風車=2023年11月16日、北海道稚内市、朝日新聞社機から、角野貴之撮影

 事業に使う電気を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す大手企業87社が25日、日本政府に再エネ拡大を求める提言を発表した。再エネ容量を2035年度までに22年度比で3倍に増やすよう求めた。

 提言したのは、事業に使う電気を100%再エネ由来にすることを目指す国際的な企業連合「RE100」。キリン、ソニー、花王、リコー、LINEヤフーなど国内外で名の知られる大手企業87社が提言に賛同している。

 提言では、「国内の再エネ容量を増やすことで、エネルギー安全保障を大幅に改善し、国際競争力を堅持する」などと指摘。再エネを活用するために、蓄電やエネルギーマネジメントシステムへの投資増▽コスト比較のために、各電源の発電コストの計算方法の開示▽送電網を増強する技術への投資促進――などを求めた。

 背景にあるのは、環境に配慮した経営を求める圧力が世界的に高まっていることだ。潮流に乗れなければグローバル市場から締め出されかねない。RE100によると、参加する日本企業の再エネ調達率は、G7の中で最低。高いコスト▽限られた供給量▽調達の難しさ――によって再エネの確保が難しいと指摘している。

 オンライン会見したLINEヤフーの服部実・サステナビリティ推進統括本部シニアアドバイザーは「我々企業が需要家として再エネの拡大に向けた声を上げることができた良い機会。再エネ拡大がさらに加速すると期待する」と述べた。後日、経済産業省などに提言を渡すという。(市野塊)

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