測量会社の技術者と大学の研究員を兼業していた愛知県の男性(当時60)が自殺したのは、二つの職場での心理的負荷が重なったためだとして、労災と認定されていたことがわかった。
厚生労働省によると、複数職場の心理的負荷や労働時間を「合算」して審査できるようにした2020年の法改正以降、こうした総合評価で過労自殺と労災認定したのは初めてとみられる。政府が兼業推進にかじを切るなか、労働者が抱えるリスクも浮き彫りになった。
- 兼業で抱えた「二重の負荷」 両立めざし途絶えた父の夢、娘の自責
- 「困るのは自分」申告ためらう兼業者 国の想定と乖離する現実とは
遺族や代理人弁護士によると男性は長年、橋の設計技術者として勤めた後、19年12月から測量大手「パスコ」の技術社員と岐阜大学工学部の研究員を兼業。21年5月に自宅で命を絶った。
名古屋北労働基準監督署は、男性が同社ではチームで通常担う新規事業を1人で負う立場に置かれ、理解者だった入社時の上司が全員転勤して「孤立感を深めた」と指摘。大学では担当の准教授から、同大もパワーハラスメントと認める厳しい指導を受けていたと言及した。
数値化しにくい「負荷」をどう評価したか
同署はそれぞれの心理的負荷…