与党が衆院で過半数を持たない「少数与党」の国会が24日、幕を閉じる。衆院選で突きつけられた「民意」に与野党はどう向き合ったのか。近年、「形骸化」と指摘された国会審議は生まれ変わったのか。国会制度に詳しい駒沢大学の大山礼子・名誉教授に臨時国会の評価を聞いた。
――この国会では政治改革で与野党提出の9法案が審議されたほか、28年ぶりに予算案も修正されました。国会のあり方として、どう評価しますか。
与党が過半数を握っていた今年1~6月の通常国会で、自民は政治改革でわずかに法案の修正をしましたが、ほとんど譲りませんでした。それに比べると、この臨時国会では与党は大幅に野党の修正をのんだと言えます。
(外交の秘密にかかわる支出などを非公開にできる)「公開工夫支出」の新設も、野党の批判を受けて削除しました。こうした自民の姿勢は先の通常国会では見られなかったものです。少数与党で臨んだ臨時国会の変化と言えるでしょう。
ただし、今回の政治改革はあくまで政党の話で、内閣が主導すべき法案ではありません。今後、与野党が対決するような法案を内閣が出してきた時、どういう議論が国会でなされるか、これまで通りの「事前審査」がなされるのか、ということが来年の通常国会の注目点になると思います。
――法案が国会に出てくる前に、与党の「事前審査」が行われるため、国会の議論を受けて修正することがほとんどありません。与党や政府にとっては都合のよい仕組みですが、この事前審査は変わると思いますか。
今回の国会で変化はありませんでした。自民は補正予算案について国民民主党や日本維新の会の賛成を取り付けましたが、過程を見れば、これまでの与党の事前審査の枠組みに、一部の野党を取り込んだだけです。ほとんど公開性は高まらないし、裏の議論で決めています。一部の野党の意見が通ったと言えるかもしれませんが、国会の審議で修正されたわけではありません。
――事前審査がなくならない限り、国会が変わることはないのでしょうか。
そうです。事前審査があるた…