世界遺産登録の実現に向けて「がんばろう」と気勢を上げる市民団体「佐渡を世界遺産にする新潟の会」の役員ら=2024年6月7日、新潟市中央区、茂木克信撮影
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 世界遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)について、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関「イコモス」が、遺産についての補足説明を求める「情報照会」を勧告した。文化庁の発表から一夜明けた7日、新潟県内では登録内定にあたる最高評価ではなかったことに様々な受け止めが広がった。

 文化庁の発表では、情報照会は4段階あるうちの上から2番目の評価。勧告によると、江戸時代より後の証拠が大部分を占める「北沢地区」を除外する▽相川鶴子金銀山の緩衝地帯を沖合まで広げる▽商業採掘を再開しないと鉱業権の所有者が約束する――の3点についての追加情報が要請された。

 県によると、昨年はイコモスから情報照会を勧告された6件全てが、世界遺産委員会では登録と判断された。県世界遺産登録推進室の沢田敦室長は、追加情報の3点について「対応する方向で検討していく」と話した。7月の世界遺産委員会の開催までに、追加情報として何らかの書面を提出する方針という。

 花角英世知事は7日午後、報道陣の取材に「世界遺産に値する価値があると認めて頂いた上で、価値をさらに明確にする、あるいは保護措置を強化する指摘を頂いたということ」と述べた。今後の対応については「国や佐渡市と連携して世界遺産委員会の理解を得られるよう取り組む」とした。佐渡市の渡辺竜五市長は「長い期間かけていろんなことをやってきて、『登録』かと思っていたので残念。世界遺産への価値を認めてもらったのは一歩進んだと思っている」と語った。

 イコモスはこの3点に加え、「追加的勧告」として別の8点についての配慮を求めた。この中には「全体の歴史を現場レベルで包括的に扱う説明・展示戦略を策定し、施設・設備等を整えること」が含まれている。

 佐渡金山では、戦時中に朝鮮半島出身者が働いていた歴史についての説明の表示は限られている。追加的勧告について、花角知事は「より望ましい、というものを指摘されているということ。勧告の内容をしっかり分析して対応を検討したい」。渡辺市長は「何をどのようにするかは国、県としっかりと協議し、スピードをもって実行していきたい」と述べた。(井上充昌、北沢祐生)

急きょ直した懸垂幕

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