豪雨で被災した自宅に、金沢市のみなし仮設住宅から片道約3時間かけて通う男性(75)。この日は金庫から通帳などの貴重品を取りに来た=2024年10月31日午後1時47分、石川県珠洲市仁江町、金居達朗撮影

 1日、能登半島地震の発生から10カ月が経った。10月31日午後、9月の豪雨で土砂崩れが起きた石川県珠洲市仁江町では、金庫から通帳などの貴重品を取りに来た男性(75)の姿があった。

 豪雨のあった9月21日、男性は仁江町にいた。胸のあたりまで水につかりながら、命からがら脱出し、近くの道の駅まで歩いて避難したという。地震を耐えた自宅はひざ上まで土砂に埋まり、流された納屋が玄関をふさいだ。病気の妻と住む金沢市のみなし仮設住宅から片道約3時間かけて、時々自宅を訪れている。

 これからの生活について、「近くの仮設住宅もいつできるのかわからないし、どうもこうもない」と疲れた様子で話した。

 仁江町では23世帯が暮らしていたが、地震による土砂崩れで9人が犠牲になった。さらに崩れるおそれから避難指示が出されたうえ、対策工事に数年かかる見通しで、県は5月に全世帯を長期避難世帯に認定している。(金居達朗)

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