環境省が発足の「原点」とも言える水俣病患者らの口を封じた「マイクオフ」問題の再懇談が始まった。5月1日には1時間にも満たなかった懇談の機会は、約2カ月を経て3日間をかけ計約20時間の日程に拡大した。患者・被害者団体側、環境省側にも、当初この展開を予想した人は少なかった。

  • 水俣マイクオフ問題の再懇談始まる 環境相説明に「ゼロ回答」の批判
5月1日、伊藤信太郎環境相(右から2人目)らと水俣病関係団体の懇談の途中でマイクの音声が切れる場面があり、懇談終了時に理由について問われる環境省関係者ら=2024年5月1日午後4時49分、熊本県水俣市、小宮路勝撮影

 5月の懇談は8団体で40分。時間不足で「マイク切り」につながったことを批判された環境省が「改めて丁寧に話を聞く」としても1日、長くても2日あれば――。

 団体側にもそんな見立てがある中、水俣病患者連合は違った。5月の懇談に出席していた松崎重光さん(82)が所属する団体。マイクを切られた3団体の中でも、亡くなった妻の思い出も交えて切々と救済を訴えていた最中に打ち切られた様子は、テレビで何度も流され、象徴的場面となった。

「10年要望しても一つも解決しない」

 「松崎さんを守れなかった」…

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