東京大大学院の鎌田真光講師

 産業構造の変化や機械化などに伴い、仕事中の体の活動量が減っていることは、多くの人が実感しているだろう。では、実際にどれくらい減ったのか。東京大学大学院の鎌田真光講師(運動疫学)らが調べたところ、過去70年間で少なくとも約1割低下したと推定されることがわかった。「人類の進化とのミスマッチが起こっています」。鎌田講師は、危機感を持つべき問題だと警鐘を鳴らす。

 鎌田講師らは、総務省の労働力調査で329に区分された仕事の就業者数に、それぞれの仕事の活動強度を掛け合わせて、それらを合算。日本における職業上の活動強度の平均値を年ごとに出し、8月に研究結果を発表した。

 活動強度は、米国の先行研究で全職業について算出された強度を用いた。例えば、引っ越し業に携わる荷役従事者は、かなり高い。農林漁業従事者や建設作業者、宅配業の配達員、介護職員、看護助手なども高い方に分類される。一方で、デスクワーク中心の管理職や事務、販売従事者は、活動強度が最も低い層だ。記者職も低い方に分けられる。

 そうして算出した活動強度の平均値を、1953年から2022年まで年ごとに比較した。すると、職業分類方法に大きな変更がない1962年から2010年の48年間では、9・6%の低下がみられた。

日本は「座り過ぎ国」、職場で防ぐだけでは不十分

 2010年以降も、強度が高…

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