享栄―中京大中京 四回表、享栄・杉本はスクイズを成功させて先制点をあげると笑顔を見せた=2024年5月3日、岡崎レッドダイヤモンド、渡辺杏果撮影
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(3日、愛知県高校優勝野球大会決勝 享栄3―2中京大中京)

 両チーム無得点のまま迎えた四回表1死二、三塁。杉本純也主将(3年)が打席に立つと、スクイズのサインが出た。

 「なんとか前に転がしたい」。2球目のスライダー。手前でバウンドしたボールにバットをあてた。ピッチャー前へ転がすと、犠打野選となり1点を先制した。

 バント練習は、日頃から徹底してきた。部員同士で「絶対一発で決めろ」とプレッシャーをかけ合い、杉本主将が「練習の方が試合より緊張する」と感じるほどだ。

 「バントは得意なんです」。試合後、照れたように笑った。

 九回表には勝ち越しにつながる中前安打を放ち、決勝点のホームを踏んだ。

 「自分は技術がない。でも、練習は好き」と語る杉本主将。年長から野球を始め、いつしか虜になった。中学生のころ、大藤敏行監督に「(中京大)中京を倒す側に乗らないか」と誘われ、享栄への入学を決めた。

 その大藤監督はチームを率いる杉本主将を「人柄だけの男」と評する。

 同時に、大一番での活躍をこうも振り返った。

 「杉本は一切、手を抜かない。神様が打たせてくれたんじゃないか」

 杉本主将は「東海大会でてっぺん取って、夏は甲子園に行きたい」と語った。(渡辺杏果)

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