河村たかし名古屋市長(中央)に最終報告書を手渡す名古屋市教育委員会の坪田知広教育長(左)と調査チームの寺脇研座長=2024年8月28日午後2時34分、名古屋市中区、井上昇撮影

 市立校の校長らの人事に絡み、名古屋市教育委員会が教員団体から推薦名簿と金品を受け取っていた問題で、市の第三者の調査チームが28日、最終報告書を公表した。個別の人事への影響は確認できなかったとする一方、金品の具体的な使い道が明らかになった。一部は校長経験のある現役または退任した教育委員に人事案を事前に見せる「内覧」と呼ばれる会合で、ホテルの会議室代や飲食費などに使われていた。

  • 教員人事の推薦名簿・金品=不適切 でも現場は「賄賂の認識ない」

 教員人事を行う市教委教職員課には毎年、翌年度の校長や教頭らの人事について、校長会や大学の同窓団体などから推薦名簿が提出され、その際に現金や商品券も贈られていた。

 最終報告書などによると、少なくとも直近7年間で、計約1312万円を受領。金品の一部は人事案を承認する立場の幹部ら7人に、計約424万円が分配されていた。

 「内覧」には、計約42万5千円が使われていた。

 報告書や関係者によると、内覧は例年2月中旬ごろにホテルの会議室などを借りて開かれ、市教委側は教職員課長や教員出身の局部長級職員ら6~7人が出席。示された資料を見ながら、元教育委員らが「ここの校長、教頭の組み合わせは良くない」「この地区は女性管理職が少ない」などの意見を出していたという。終了後は飲食店で宴席を持つのが慣行だった。

 内覧後に人事案が変わったこともあったが、示された案が市教委内でもまだ調整段階のものであったことや、内覧での指摘自体があいまいなことなどから、内覧の人事への影響は「ごく限定的なものだったと推測できる」とした。

「癒着に対する問題意識が欠落」指摘も

 内覧が始まったのは約20年…

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