写真・図版
声楽を学ぶ生徒たちと、指導する東京音楽大の服部洋一教授(右)=2025年1月13日午前10時23分、東京都目黒区の東京音楽大学、太田原奈都乃撮影

 芸術や理系分野で世界に通用する若者を育てようと、東京都教育委員会が「得意な才能を伸ばす教育」に力を入れている。都立高校の生徒が対象で、希望者は第一線で活躍する専門家の指導を受けられる。「世界を牽引(けんいん)する芸術家の育成」をめざす特別授業の現場を訪ねた。

【まなviva!】(まなび場)

幼い子どもから人生のベテランまで。「学び」をとりまくさまざまな話題を届けます。

 1月中旬の祝日、東京音楽大学(東京都目黒区)の音楽室に、高校生の歌声が響いていた。都教委の「得意な才能を伸ばす教育(芸術)」で声楽コースを受講する都立高1、2年生の9人。学校は別々だが息はぴったりだ。

 練習していたのは映画「天使にラブソングを」の劇中歌として知られる「Hail Holy Queen」。「気迫が飛ぶように!」。指導する同大の服部洋一教授(声楽)は、ラテン語の抑揚や発音、クラッピング(手拍子)のコツも伝授した。

 ポップスを歌うことが多いという杉並総合高校2年の女子生徒は「クラシックの歌い方を学べて、役に立ちそう」。音に関わる仕事をしたいという晴海総合高校2年の女子生徒は、声楽を学んでみたくて参加したという。「専門的な内容なのに分かりやすくて、すごく楽しい」

写真・図版
声楽を学ぶ生徒たち=2025年1月13日午前11時50分、東京都目黒区、太田原奈都乃撮影

 今年度、芸術分野の特別授業を受けるのは1、2年生の約40人。昨秋から、「作曲家の仕事を知る」と題した同大教授の講演に始まり、週末、オペラ鑑賞や楽曲解説、美術館見学、若手芸術家の講義などを受けてきた。さらに8分野から好きなコースを選び、2~3日間の指導を受ける。声楽コースはその一つだ。

 服部教授は「芸術の技能はじ…

共有