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熊本県

 熊本市内にある私立高校で2022年、生徒(当時16)がいじめを受けて不登校となり、いじめ防止対策推進法の「重大事態」に認定された問題で、生徒の代理人弁護士が記者会見を開き、学校が設置した第三者委員会の調査報告書を公表した。報告書は、不登校は部活動の上級生による被害生徒への暴言・暴行などに原因があると結論付けている。

 1月にまとめられた報告書によると、被害生徒は22年4月以後、同じ部活動の複数の上級生から日常的に暴行や暴言を受けるようになった。これが原因で6月~9月、不登校となり、その後に登校を再開しても別室で個別学習をするようになった。

 学校は7月に外部からの連絡で、部内で上級生による暴行があることを知り、調査を開始。加害者とみられる上級生に停学処分を科すなどしたが、被害生徒の不登校日数がいじめ防止対策推進法による重大事態の目安となる30日間を超えても県に報告せずにいた。

 第三者委は、学校がこの問題について部に対応を任せきりにするなど、連携や情報共有が不十分だったため対応の遅れにつながったと指摘した。

 また、学校から重大事態の報告を受けた後の県私学振興課の対応についても、第三者委をどのように設置すれば良いのか、学校を十分にサポートしていなかったと指摘した。

 第三者委の活動が本格化したのは、委員の人選に手間取ったことが影響して24年4月からとなった。

 被害生徒側は「関係者の記憶も薄れ、事実関係が十分に解明されていない部分がある」「学校の対応の遅滞は明らかであり、不信感は拭い去れない」とのコメントを出した。学校に調査報告書の公表を求めるという。

 学校の副校長は取材に対し「報告書を重く受け止め、今後、このようなことが起きないように改善していきたい」と述べた。

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