精神科医で、作詞家・歌手としての顔も持つきたやまおさむさん(78)が、白鷗大学(栃木県小山市)の学長に就任して3年半がたった。学生らと向き合って考えたことなどを聞いた。学長になって、どんな思いですか?

 1960年代に「帰って来たヨッパライ」が大ヒットした「ザ・フォーク・クルセダーズ」の元メンバー。京都府立医科大学を卒業後、医師の道に進んだ。音楽活動では作詞家として「戦争を知らない子供たち」や「あの素晴しい愛をもう一度」などのヒット曲を作詞。執筆活動もこなし、多くの著書を出してきた。

 「みなさんがびっくりされるのは、医者でありながら、あるいは研究者でありながら、あるいは教育者でありながら、ミュージシャンである、という振幅の大きさだと思う」

 ただ、若いころは自分の状況に悩んだという。

 「音楽をやっていた者がすぐに臨床に携わって、多くの人に、何でここに、と思われた。病院の中にパパラッチが入り込み、患者さんにインタビューすることもあった。本当に申しわけないことをしていたと感じていた」

 葛藤の中で、自身を支えたことが二つある。

森鷗外ら先達の存在、精神医学が支えに

 「一つは、多くの医者が表現…

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