ウクライナ北東部ハルキウで2024年5月10日、ロシア軍によるミサイル攻撃があった現場で活動する消防士ら=ロイター

 ウクライナ国防省は10日、ロシア軍がウクライナ北東部ハルキウ州にある北部国境付近の前線を突破しようと試みたと、SNSで明らかにした。現時点では撃退できているが、複数の地域で戦闘が続いているという。

 同省によると、ロシアは9日夜から10日の朝にかけて、国境から10キロ未満に位置するハルキウ州ボウチャンスクで空からの攻撃を実施。夜が明けると、砲撃を含めて前線での圧力を強め、10日午前5時ごろにウクライナの防衛線を突破しようとしたという。

 ウクライナ側は「これらの攻撃は撃退された」としつつ、防衛強化のため、予備部隊を投入した。「(ロシア軍の)攻勢を抑え続けている」としている。

 ハルキウ州のシネフボウ知事も10日、SNSで、ロシア軍が多連装ロケットシステム「MLRS」などを使って国境を突破しようとしたと報告。「様々な武器を用いた攻撃が、ここ数日で激化している」と記し、周辺の住民には避難をためらわないよう呼びかけた。

 ロシアとの国境から南に30キロに位置する同州の州都ハルキウは、全面侵攻開始前の時点で約140万人が暮らし、首都キーウに次ぐ第2の都市だ。ゼレンスキー大統領は4月、ハルキウの状況を「非常に厳しい」と語り、防空体制を強化する必要性を訴えていた。

 だが、5月に入ってもハルキウでは連日のようにロシア軍による攻撃が伝えられている。テレホウ市長の10日のSNS投稿によると、この日も地対空ミサイル「S300」を使った攻撃があり、11歳の子どもと72歳の女性2人が負傷したという。(キーウ=藤原学思)

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