バルテュス展の記者発表で語る高階秀爾さん=2013年、東京都美術館

 日本の美術館の展覧会は世界でもまれなほど多くの人が訪れるといわれる。この状況は、高階秀爾さんがいなければ、なかったのではないか。

 西洋美術の優れた入門書「名画を見る眼(め)」から、格調高い「ルネッサンスの光と闇」、あのピカソを「構図にはきわめて弱い」と記した鋭利な批評「ピカソ 剽窃(ひょうせつ)の論理」まで、膨大な数の著作を残した。

 こうした文章を通し、あるいは、黒シャツに赤いネクタイといったダンディーないでたちで軽やかに語る講演会やテレビ出演を通して、広く美術の魅力を伝えた。

 いわば「ミスター西洋美術史…

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