安満遺跡公園で毎週日曜日にパエリアを作っている檜尾信吾さん=2024年4月21日、大阪府高槻市、村井隼人撮影
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 スペインを代表する料理の一つ「パエリア」。その世界大会の日本予選が大阪府高槻市で開催される。地元の店が誘致に奔走し、実現した。6月1、2の両日、「パエリアサミット」と銘打ったイベントがあり、当日は大会出場者らが作ったパエリアを食べられるほか、地元の飲食店もブースを出す。

 開催場所は高槻市八丁畷町の安満(あま)遺跡公園。1日目にアマチュア、2日目にプロが出場する大会があり、プロの方がスペインでの世界大会出場をかけた日本代表選考会だ。19チームが参加する。

 大会は東京・阿佐谷で開催されてきた。高槻での開催の立役者となったのは、阪急京都線高槻市駅近くにあるスペイン料理店「スパニッシュバル&カフェ ニュートラル」の店主・松下篤史さん(41)と、厨房(ちゅうぼう)を担当する檜尾(ひのきお)信吾さん(39)だ。

 主催する「全日本パエリア連盟」は、大会の規模拡大に伴い、新しい開催地を探していた。松下さんらは、大阪(伊丹)空港や新幹線の駅を示して「日本のどこからでもアクセスしやすい」などとアピールし、誘致に成功した。

 2人の店のチームも出場する大会は、制限時間内に15人前ほどのパエリアを完成させて競う。食材は全チーム同じものが配られ、大鍋とバーベキューコンロで調理する。

 作り方も、パエリア発祥の地であるバレンシア地方ゆかりの製法だ。鶏肉とウサギの肉を使い、トマトやニンニクなどを加え、そのスープで米を炊く。調味料は塩で、「パエリアの中でもごまかしがきかない」と檜尾さんは説明する。

 2人は安満遺跡公園のカフェの一角を借り、毎週日曜日に大会と同じ条件でパエリアを作っている。これまで2千食近く作った計算になるという。

 昨年には本場のバレンシアを訪れたという。檜尾さんは「パエリアは休日に家族で集まって食べる料理で、おいしいからこそ会話が弾む。なぜ代々受け継がれてきたのかを考え直した」と振り返る。そして「地元の応援してくれる仲間を世界に連れて行きたい」と意気込む。

 イベントでは、大鍋で特製パエリアをつくるチャリティーイベントが開催される。1食千円で販売し、収益は能登半島地震の被災地での炊き出し費用に充てられるという。また、地元の飲食店やスペイン料理店など30店舗ほどが出店し、料理を提供する。フラメンコショーもある。檜尾さんは「高槻の新名物として定着させたい。地元の飲食店にも参加してもらい、還元できるイベントになればうれしい」と話している。

 サミットの詳細は全日本パエリア連盟のホームページ(https://www.paellamania.com/?gclid=EAIaIQobChMIsf2C8tvwhQMVxMVMAh1wtQjCEAAYASAAEgKxMvD_BwE別ウインドウで開きます)などで。(村井隼人)

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