トランプ米大統領が脱「脱炭素化」の動きを加速させている。就任初日には気候変動対策の国際ルール「パリ協定」から再び離脱すると表明し、化石燃料の増産も打ち出した。ただ、電力中央研究所の上野貴弘・上席研究員は「トランプ氏にできることは意外と限られている」と指摘する。
第二次トランプ政権は通商政策だけでなく、エネルギー分野でも独自色を発揮しています。世界や日本の脱炭素化に影響はあるのか、識者に聞きました。
- 言葉に惑わされず「真意の見極めを」 トランプ政権にどう向き合うか
――トランプ氏は大統領に就任早々、パリ協定の離脱や「国家エネルギー緊急事態」を宣言する大統領令にも署名しました。
「パリ協定の離脱は想定の範囲内です。焦点は、1990年代から国際協調の土台となってきた『国連気候変動枠組み条約』からの脱退でしたが、可能性は低いでしょう。大統領令の本数や中身から、バイデン前政権が進めてきた政策の解体に向け、周到に準備してきたことがうかがえます。緊急事態宣言により具体的に何ができるかはっきりしませんが、エネルギー不足を解消するよう各省庁に命じています。この先も注視が必要です」
――トランプ氏は「ドリル、ベイビー、ドリル(掘って、掘って、掘りまくれ)」と繰り返し、化石燃料の増産を掲げています。
「実は、連邦政府の権限は限…