自宅や学校に居場所のない若者が集まる東京都新宿区歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる一帯で23日、都が職業体験イベントを開いた。訪れた若者がネイリストなどから仕事の内容を教わったり、やりがいを聞いたりした。
トー横では若者の市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)や売春、自殺などが後を絶たない。イベントは、近くに相談施設を設けて若者の悩みを聞くほか、警察官や区職員らとパトロールを続ける都が、就労支援の一環で企画した。
協力したのはネイリストやイラストレーター、ファッションデザイナーら。ファッションデザイナーのブースでは、若者が講師のアドバイスを受けながら、クリスマス向けのドレスのデザインを考えた。埼玉県志木市から母親と訪れた中学2年の女子生徒(13)は、「将来はデザインの道に進みたくなった」と笑顔だった。
この日は、トー横問題に詳しい識者らのパネルディスカッションもあった。若者を支援する公益社団法人「日本駆け込み寺」の田中芳秀事務局長は、歌舞伎町について「若者を犯罪に巻き込む大人がたくさんいる」と説明。筑波大の土井隆義教授(社会学)は「周りの人が、困っている若者を見過ごさないことが大切だ」と話した。(吉村駿)