次世代半導体を開発するラピダスに対し、政府が巨額の資金をつぎ込んでいる。研究開発費として最大9200億円の支援を決め、新年度の当初予算案には出資のために1千億円を計上した。さらに、ラピダスを含む「日の丸半導体」の復権をかけた「10兆円の支援フレーム」もまとめ、近く始まる通常国会で関連法案を提出する方針だ。巨額の国費を伴う支援策はどう決まったのか。その舞台裏に迫った。=敬称略

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EUV露光装置の工場搬入を祝う式典で、事業を説明するラピダスの小池淳義社長=2024年12月18日午後1時16分、北海道千歳市美々、角野貴之撮影
  • 【そもそも解説】ラピダスがめざす「2ナノ」の半導体、なにに使う?

 「半導体支援は、政権として、どのような位置付けにありますか」「どんな財政支援が必要ですか」

 今から1年ほど前。財務省の官房長だった宇波弘貴が、首相官邸を非公式で訪れた。面会相手は、当時の首相・岸田文雄の首席秘書官だった嶋田隆。複数の関係者によると、半導体産業への支援をめぐる政府の意向、政策の方向性を議論するためだった。

 政府は2021~23年度の…

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