ドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが亡くなった問題で、原作漫画を刊行した小学館は3日、同社の取締役と顧問弁護士からなる特別調査委員会の報告書を公表した。
「ドラマ制作は芦原氏の意思を達成した」とする一方で、日本テレビとの契約や危機管理体制には問題があったと指摘した。
報告書によると、小学館は日テレからドラマ化の相談を受けた当初から「原作に忠実」な脚本家でないと難しいと伝えていた。その後、原作にはないオリジナルとなる第9、10話に関して、芦原さんによる「脚本もしくは(構成を記した)詳細プロット」を提案したいと申し出たところ、日テレは承諾。この時点でドラマ化の合意が成立したと認定した。
それにもかかわらず、実際には芦原さんの意向やプロットに忠実な脚本は制作されず、度重なる修正指示を出すことに限界を感じた芦原さんが第9、10話の脚本を書くに至ったとした。脚本家は調査委員会に対し、芦原さんの「原作に忠実に」という意向を聞かされておらず、芦原さんが脚本を書くのであれば引き受けなかったと回答していた。報告書では、「(日テレが)芦原氏の意向を脚本家に伝え、原作者と脚本家の間を調整するという役割を果たしていない」可能性があると指摘した。
一方で、報告書は小学館側の非にも言及した。メールと口頭で映像化は合意されたものの、その条件にあいまいな要素があったとした。
再発防止策として、契約書締結の早期化や交渉窓口の一本化、危機管理体制の充実、専門窓口やサポート体制の周知を挙げた。
小学館の調査報告書の公表を受け、日本テレビは3日、「漫画や小説を映像化する際には、原作者をはじめ関係する全ての方々と、より一層丁寧に相談しながらドラマ制作に努める」とコメントした。(真田香菜子、宮田裕介)