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JR中野駅前で開かれた相談会。相談者を交え、ほかの支援者(左)と今後の方針を話し合う佐々木大志郎さん=2024年12月26日午後7時15分、JR中野駅

 スマホの充電、明日までもつかな。

 昨年12月初旬、男性(29)は途方に暮れていた。

 手持ちは残り320円。もう、ネットカフェにも入れない。

 車や半導体の工場、工事現場など、職場を転々としてきた。メンタル不調もある。少ない時は手取り月10万円。それでも、スマホ代だけは払ってきた。

 LINEで連絡する友達は一人もいない。でも、仕事も、泊まるネットカフェも、支援先だって、探すにはスマホが必須だ。

 「なくなったら詰んじゃう」

 またコンビニのトイレに5分こもり、コンセントを借りて数%でも回復しようか。12月の夜を路上で過ごすのか。

 以前、「貧困」という言葉を検索して知った「緊急お助けパック」を思い出した。

 配布先の一つ、東京都立川市の認定NPO法人「育て上げネット」を訪ねると、A4サイズの封筒を手渡された。

 中には、1泊分の宿泊チケット(転売不可)、カロリーメイト1箱とともに、単三電池4本が入っていた。

 このパックは、困窮者支援のため、NPO法人「トイミッケ」と一般社団法人「つくろい東京ファンド」が展開する。1人1回限り利用でき、都内の店舗や事務所など66カ所ある受け取りスポットで受け取れる。

 電池を入れているのは、理由がある。

ちらつく「闇バイト」の影

 「困窮支援の現場では、スマ…

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