「これじゃあコメを作る気もなくなりますよ」
熊本県菊陽町の専業農家、前田孝一さん(77)は9月、収穫期が近づく稲を見渡しながら語った。
コメ作りを始めてから50年あまり。春になると田んぼに水を張り、手をかけながら育てて秋に収穫する生活を続けてきた。
今年はスーパーなどからコメが消えた「令和の米騒動」もあって、米価は改善の兆しがあるが、コメ作りが報われるようになるとは思えない。周囲の農家が次々に稲作をやめていったことが、それを物語る。
政府はコメからの転作を奨励
理由の一つが、政府のコメ政…