連載「上場、破綻、そして再起動」下
西久保慎一(69)は2021年11月末、高橋良(29)、鬼澤健斗(29)と航空会社を旗揚げするのに「当面5千万円は必要だな」と計算した。
西久保はスカイマーク社長在任時、「地方空港を小型機で結ぶビジネスが成立する」と着想した。欧州にはビジネスジェットで都市間を飛ぶ航空会社が多くある。朝イチでロンドンに行き、昼はパリ、夕方はフランクフルト。多忙な企業人がそんな移動をしていた。
だから、ひらめいた。「やるならビジネスジェットだよ」。そう2人に告げた。西久保が貸す小型ジェット機C510(乗客4人乗り)を、2人が乗りこなすには最低100時間は訓練に必要で、その燃料代だけでも1千万円は超えそうだった。それに教官の費用や整備代を加えると5千万円はくだらない。1年やって見込みがなければ、そのときは、あきらめるつもりだった。
そもそも西久保はスカイマー…