がたいのよい被告の男(25)は、少し足を引きずりながら証言台の前に立った。
1月20日、札幌地裁。
ロシアの侵攻を受けるウクライナで義勇兵をしていると称し、「支援物資」として鎮静剤をだまし取ったとする詐欺事件の公判で、被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。被告はなぜ義勇兵と詐称したのか。検察側の冒頭陳述などから、事件の経緯をたどる。
最大震度7の北海道胆振東部地震が発生した2018年、被告は予備自衛官として救助活動に従事した。しかし、その最中に左足を負傷し、自衛官を辞めることになった。
下半身にまひが残り、激痛に悩まされる日々。鎮静剤で痛みは和らぐが、次第に依存度が増していく。オーバード―ズ(過剰摂取)を繰り返した。
現実から目を背けるような時間だけが過ぎるなか、自衛官時代の先輩がウクライナに渡り、義勇兵として戦っていることを知る。
本物の義勇兵たちが参加する…