「朝日地球会議2024」森澤恭子・品川区長講演から
国際シンポジウム「朝日地球会議2024」(朝日新聞社主催)が開催され、2日目の10月26日、東京都品川区の森澤恭子区長が講演した。主な内容は次の通り。
- 朝日地球会議2024 視聴申し込みはこちらから(12月31日まで)
世界幸福度調査で日本は51位。「人生の選択の自由度」や「寛容さ」などの指標が幸福度を押し下げています。一人一人の思いに寄り添う「ウェルビーイング」の視点で施策を展開することが求められているのです。人々の抱える不安を少しでも取り除き、未来に希望が持てる政策を打ち出していくことこそが、政治や行政の責任だと考えます。
品川区は昨年度、事業の無駄の削減などを行い、一般会計予算の1%にあたる20億円の財源を捻出しました。これを区民の幸福につながる事業に振り向けるため、従来の予算編成とは別に、ウェルビーイングの観点から新たな施策をつくる作業を進めました。昨年実施した全区民へのアンケート結果を分析し、「社会全体で子どもと子育てを支える」ことなどを政策の柱にしました。
例えば、0歳児のいる家庭への「見守りおむつ定期便」を始めました。配達時に子育ての不安や悩みをうかがっています。また、学校給食の完全無償化のほか、都内で初めて、所得制限のない学用品の無償化も行いました。
今後は、あらゆる人が必要とする行政サービスを全ての人に保障する「ベーシックサービス」を広げていきます。
来年度の予算編成では、学校始業前の朝の居場所づくりと、全国初の本格的な朝食支援に挑戦します。子どもの心身の健やかな成長を社会全体で支援し、子育て家庭の負担と不安を減らしていきます。
さらに親の経済状況にかかわらず、希望する人が大学進学に挑戦できるよう、所得制限のない奨学金制度の創設に向けた検討も進めます。
先行きが不透明な時代にあるからこそ、一人一人が生きがいを感じて自分らしく暮らしていける。人としての幸せを実感できる。そんな未来をつくりたいと思います。