東京都江東区で2019年、電話で資産状況を聞く「アポ電」の後にマンションに押し入り、住人の女性(当時80)を死なせたとして強盗致死罪などに問われた被告3人の差し戻し後の裁判員裁判で、東京地裁(香川徹也裁判長)は22日、いずれも求刑通り無期懲役とする判決を言い渡した。
3人は須江拓貴(27)、小松園竜飛(33)、酒井佑太(28)の各被告。19年2月に金品を奪う目的で江東区のマンションの部屋に侵入し、女性の手足を縛るなどの暴行を加え、死なせたなどとして起訴された。
差し戻し前の東京地裁判決は21年、須江被告を懲役28年、小松園被告と酒井被告を懲役27年としていた。しかし東京高裁は23年、地裁が女性の死因を「手足を縛られたことなどで持病が急激に悪化した」と判断した点について、「暴行で死亡した可能性への評価を誤った」と指摘。審理を地裁に差し戻していた。
22日の判決は、女性の首が圧迫されたとする医師の証言や、事件前の女性は一人で生活ができる健康状態だった点を踏まえ、「被告らの暴行が原因で死亡した」と認めた。そのうえで、3人がほかにも強盗や窃盗を繰り返していたことから、「犯罪性をエスカレートさせた経緯は悪質で、無期懲役が相当だ」と結論づけた。(金子和史)