友人がわかってくれない場面のイメージ=生成AIを使い作製、井奥智大さん提供

 相手が自分のことを「わかってくれる」と思うと、その相手とよりかかわりたくなる。なぜそうなるのか。親しみを感じるようになるからというより、相手に対する先入観や偏見を持たなくなることが大きいらしい。そんな心の変化を、大阪大の井奥智大特任助教(社会心理学)らの研究グループが、人を対象にした心理学実験から突き止め、科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。

 一般的に、人は自身の能力や人格、信念などを他人から理解されたいと思っていて、「わかってくれる」と認識すると、その人の行動や集団同士の関係によい影響を与えることが知られている。逆に「わかってくれない」と認識すると、相手に排他的に働く例も知られているが、これらの心の変化がどのような仕組みで働いているかはよくわかっていない。

 研究グループは、日本人と、日本に住む中国人との関係を題材にとりあげた。オンライン調査に応じた18歳以上の日本人476人(平均48歳)を二つのグループに分け、「中国人が日本のことを理解している」「中国人が日本のことを誤解している」という内容の記事をそれぞれ読んで感想を書いてもらい、中国人に対するイメージなどを質問した。

 その結果、「理解している」旨の記事を読んだグループは、「誤解している」記事を読んだグループに比べ、中国人に積極的にかかわろうとする傾向が、まず確認された。

 なぜそのような心の変化が起…

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