ガスコンロの上に置かれたエサにつられて、コンロの操作ボタンを押す犬(イメージ)。こうしたペットの行動を製品評価技術基盤機構は「もふもふプッシュ」と名付け、注意を呼びかけている=同機構撮影
  • 写真・図版

 室内で飼うペットの思わぬ行動で火災が起きることがあると、製品評価技術基盤機構(NITE)が注意を呼びかけている。

 NITEに通知された製品事故情報によると、2013年度から22年度までの10年間で、ペットによる事故が61件発生。うち約9割は火災に至っている。

 22年7月、愛知県で当時無人だった事務所でガスコンロとその周辺が焼ける火災が発生。駆けつけた関係者が初期消火した。室内で飼っていた大型犬がコンロの操作ボタンを押したために火がつき、周りの可燃物に燃え移ったと推定されている。操作ボタンにはロックがかかっておらず、左右の五徳の間に犬のエサが入った容器が置かれていた。

 NITEによると、61件の事故のうち、最も多かったのは、ペットがコンロの操作ボタンやスイッチを押し発火した事例で、27件だった。うち2件では、飼い主が外出中で留守番のペットが死んだ。

 次いで、ペットの尿や抜け毛についた水分が原因で発火した事故が19件。この現象はトラッキング現象と呼ばれ、電気製品の内部に水分が付着することにより、火花放電が繰り返され、ついにはショートして発火するものだ。

 ペットの種類別では、猫が35件で最多。犬は17件だった。どちらもコンロの操作ボタンやスイッチを押した事故が最も多かったが、猫は、高いところにあった電気製品などに排尿した事故がその次に多かった。猫の高い身体能力も関係しているとNITEは見ている。犬では配線器具などをかんだことによる事故が、スイッチを押した事故と同数の1位だった。

 事故を防ぐため、NITEは、飼い主が出かける際はガスコンロの元栓をしめ、IHコンロや電気コンロは主電源を切るよう助言する。「コンロにロック機能がある場合はロックをかけてほしい」

 コンロや暖房器具の周りには、燃えるものやペットの興味をひくものを放置しない。ペットが好む排尿場所付近に配線器具や電気製品を置かないことも大事だ。「ペットの行動に注意して、事故につながりそうな動作をしているようなら、対策を取ってほしい」とNITEは呼びかけている。

 出かける際には室内で放し飼いにせず、ケージに入れておくのも有効だという。(大村美香)

共有
Exit mobile version