現場へ! 終わりなき育児に希望を(2)
「どうやって生活を回していけばいいんだろう」。仙台市でダウン症の長男(3)を育てる神山(かみやま)春花さん(34)はお金のことを考え出すと、夜も眠れなかった。
コロナ禍に夫(36)は営んでいた飲食店をたたみ、職を転々とした後、夜勤のある工場で働き始めた。出産前に買った家のローンは、会社員の自分が大部分を担っていた。
13年勤めてきたアパレル企業に復職するつもりだったが、区役所に相談に行くと、そもそも重い障がいのある子は保育園に入れるかわからないという。まずは「3歳まで待ったら」と。それでは育休が切れて失業してしまう。
真冬でも厚着をして暖房費を節約し、自分のご飯は素うどんでいい。服も化粧品も買わない。まだ削れる出費はないかと買い物リストを見つめていると、1時間近くたっている。自分が「無」になっていくような気がした。
「障がいのある子を産んだ母親はみんな仕事を辞めるって言われたけど、そんなのおかしくない?」。通っていた療育施設の玄関先で、母親同士の会話が聞こえてきたのは長男が1歳半になった頃だ。
え、それって本当? そんなことあっていいはずがない。「その話、詳しく聞かせて」。迷わず輪に入った。
手を取り合い点と点つなぐ
声の主は、同い年の子を育て…