• 写真・図版

 栃木県那須町の河川敷で4月、会社役員夫妻の焼損した遺体が見つかった事件で、事件を首謀したとして逮捕されたのは夫妻の近くにいた男だった。夫妻を知る人の間では悲しみが広がる。

 事件前日の午後7時、東京・上野の飲食店。宝島龍太郎さん(55)が経営する十数店舗に肉や魚、野菜などを卸す取引先が一斉に集まった。

 毎月15日は代金の支払いの日だ。宝島さんはいつものようにバッグから現金を取り出し、取引業者に手渡していく。受け渡しは10分ほどで終わり、宝島さんは「またよろしく」と笑顔で店を出て行った。

 「あれが最後になるとは。言葉になりません」。宝島さんが経営する店に10年以上食品を卸してきた50代の男性はこう話し、目に涙を浮かべた。男性は「私の息子と娘を自分の子のようにかわいがってくれていた。本当に優しい人だった」と話す。

 宝島さんは配達先を1カ所に集約するなど取引先を気遣い、食事に頻繁に誘ってくれた。男性の子どもの部活の試合に、夫妻は応援で訪れた。夫妻が仕事で家に帰れない時は、男性が夫妻の子どもの面倒を見た。家族ぐるみの付き合いだった。

 宝島さんはこの日、取引業者…

共有