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 男子テニスの錦織圭(ユニクロ)が4大大会の一つ、全仏オープンの舞台をめざす10代の有望株たちの背中を押す「親善大使」を買って出た。

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 アンバサダーを務めたのは10月16日から20日まで開かれた「ローランギャロス・ジュニアシリーズ・バイ・ルノー」。この大会は日本をはじめ、アジアの10代が全仏に挑む機会を提供すべく、男女の優勝者に来年の全仏ジュニア部門の出場権(主催者推薦枠)が与えられた。夢の扉を開く戦いの舞台は、全仏の会場であるパリのローランギャロスと同様の赤土のクレーコートである第一生命相娯園テニスコート(東京都世田谷区)が用意された。

 錦織はシーズン真っ最中で多忙の中、出場選手たちと球を打ち合い、アドバイスをする時間を割いた。

 錦織にとって、全仏は16歳だった2006年、ジュニア部門男子ダブルスで優勝した思い出の舞台でもある。

 「僕はシングルスで4大大会のジュニアは良い成績を残せなかった。その中で、全仏のダブルスで優勝できたことはかなり自信になった」。その大会の期間中、すでに「赤土の王者」だったラファエル・ナダル(スペイン)と練習する機会があり、「やっぱりナダルの球って、他の選手と違うんだなっていうのを味わえた経験は大きかったです」。

 今回、男子は川西飛生、女子は上方璃咲が優勝し、来年のパリ行きの切符をつかんだ。

 錦織は大会中の記者会見で、こんなことを語っていた。

 「プロになって急に台頭してくる選手もいる。だから、ジュニアのころの結果だけを見て判断してほしくない。プロとしても活躍できそうなテニスと、今は勝てても、ジュニアレベルでとどまりそうなスタイルは、何となくわかる」

 将来、伸びる可能性がある選手に必要な資質として、ジュニアたちに向けてアドバイスを送った。

 「まず、テニスをどれだけ楽しんでやっているか。そして、試合では対戦相手のミスを待つ、つなぐだけのテニスになっていないか。きちんと相手と駆け引きができているか。それが大事」

 錦織は今秋の木下グループ・ジャパンオープンに6年ぶりに出場。「完売」の有明スタジアムで持ち味の攻撃的なテニスを披露してベスト8まで勝ち上がった。

 「秋になってから、すごく良い感触で、自信をもってラケットを振り抜けている。来年1月の全豪、さらには全仏のころまでには世界ランキングを上げて、4大大会で活躍できるようになっていたい」。今回の男女優勝者が挑む来年のパリで、錦織の活躍も期待が高まる。

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