石川県輪島市の白米(しろよね)千枚田で11日、田植えが始まった。元日の能登半島地震で1004枚の棚田の多くが傷ついてから4カ月余り。陽光の下、復興への思いを乗せて、被災した住民と県内外から訪れた「オーナー」たちがともに汗を流した。
この日の最高気温は27度。鳥のさえずりやカエルの鳴き声が聞こえるなか、地元住民でつくる「白米千枚田愛耕会」の代表、白尾友一(しらおともかず)さん(60)がマイクを握った。「震災当初は……」と話し始めたが、沈黙が続く。約30秒後、「ここまで来られるとは思っていなかった」と声を振り絞った。
田んぼにはいくつも亀裂が入り、あぜや水路は壊れた。4段の棚田が崩れて1枚になったところもあった。
愛耕会の会員約30人のほとんどが、避難生活を送りながら田んぼの修復作業を進めてきた。
白尾さんは千枚田近くの自宅…